大判例

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横浜地方裁判所 昭和36年(ワ)287号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕買取請求をされた当時の本件建物の時価についてみるに、鑑定人蔵元二治鑑定の結果と同鑑定人の供述によれば、これと同程度の建物を同所で復成するものと仮定した場合の価格をもとに、本件建物が建築後すでに約一五年を経過していること、今後の耐用年数が約一〇年であることやその現況等を考慮してその復成現価は一、一六二、〇〇〇円と認められるが、他方、さらに同証拠によれば、この建物の賃貸により、被告佐藤治郎作ら四名は以後一〇年間にわたり、地代、公課、火災保険料、建物償却費、維持修繕費、管理費等の諸経費を差引き年額二二八、六五六円の純利益をあげることができ、かつ、一〇年後において前記復成現価の一〇%に相当する価格の建物が残ること、および、建物投資による期待利殖は投資元本に対しその年一五%が通常であることを認められるから、右純収益の一〇年分の合計から年一五%の中間利息をホフマン式計算法によつて控除した残額(一〇年後に二二八、六五六円得られるべき純収益の現価は¥228,656÷(1+0.15×10)=¥91,462である。九年ないし一年後の収益の現価もそれぞれこれに準じて計算)は一、三三〇、五六一円となり、これに建物の残存価格(一〇%)一一六、二〇〇円を加えた合計一、四四六、七六一円は建物の収益力をもとにした建物の現在価額ということができる。借地法一〇条による買取請求の場合、建物の時価をどのように算定するのが正当であるかは困難な問題であるけれども、本件のように建物を他に賃貸し、その賃料によつて収益することを目的とするものにあつては、収益力をもとに計算した後者の価格こそその場所的利益を反映した時価、すなわち建物自体の客観的相当な取引価格と認めるべきであり、前記復成現価は右場所的利益の反映が十分でないことや資本財産取引の実情に合致するかどうか疑わしいことなどよりして、これによるべきものではないと考える。以上の認定に抵触する鑑定人東京建物株式会社の鑑定の結果は採用しない。

被告佐藤治郎作ほか四名は本件建物の時価は前記復成現価に以後一〇年分の賃料純収益を加算した合計三、四四八、五五〇円であると主張するけれども、純収益の現価の計算に中間利息を控除しない不合理があるのに加え、その現価を復成費と収益力との両面より二重に計算する誤りをおかしているから、到底採用できるものではない。(森 文治)

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